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フランスの医療制度と外国人滞在者が加入すべき医療保険について解説

フランス
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フランスに長期滞在する際に心配なことの一つに医療制度があると思います。

フランスの医療制度や保険制度を知らないと、多額の医療費を自費で払うことになってしまうかもしれません。

今回はフランスの医療制度について、最低限知っておくべき基本事項と、長期滞在者が加入できる保険について説明します。

フランスの医療制度

フランスの医療制度で知っておくべきポイントを3つ、解説します。

  1. かかりつけ医制度
  2. 受診の方法
  3. 医療費の自己負担分

かかりつけ医制度

日本と違い、フランスにはかかりつけ医制度があります。

かかりつけ医制度とは、どんな症状が出ていても自分で選んで登録したかかりつけ医にまずは受診し、その後必要に応じて他の医療機関を受診する制度のことです。

かかりつけ医制度があることのメリットとして、安心して相談がしやすい、毎回病院を探す必要がなくなる専門家を紹介してもらえることが挙げられます。フランスでは、かかりつけ医を途中で変更したくなった場合、いつでも変えることできます。

一方、デメリットはかかりつけ医の紹介状なしにかかりつけ医以外で受診した場合は、自己負担割合が30%から70%に増えてしまうことです。

フランスの病院の受診方法

フランスでは、緊急時を除いて予約制が基本となっています。かかりつけ医で受診し、検査や治療が必要だと判断されると、検査機関や総合病院などを紹介されます。この場合、別途予約が必要になります。

フランスの病院は主に次の3種類に分けられます。

  1. Un cabinet médical : 診療所
    マンションの一室などを借りて営業しています。緊急時以外は、まず診療所に行くことになります。小規模のため、内科がメインで手術などは別の病院で受けます。
  2. Un hôpital : 公立病院
    入院や手術を受けることができます。私立病院に比べて費用は安いですが、予約が一杯で受診まで待たされることがあります。
  3. Une clinique : 私立病院
    費用が高くなりますが、公立病院に比べて早く受診ができます。

また、薬を処方された場合は、処方箋を持って薬局へ行きます。これは日本と同じ仕組みですが、薬局が必ずしも病院に併設されているとは限りません。

医療費の支払いについて、日本では医療機関で自己負担分だけを払います。一方、フランスでは「償還払い」という一度医療費の全額を負担してから保険料が払い戻されるシステムが基本となっています。

医療費の自己負担割合

日本とフランスの医療費を比較してみましょう。

日本の医療保険では、仕事以外で病気やケガをした場合に3割が自己負担(69歳以下の場合)となります。

フランスの医療保険では、外来の場合は償還率70%(3割自己負担)、入院の場合は80%(2割自己負担)、通常の医薬品は65%(3.5割自己負担)が原則となっています。

フランスでは、診療(1回につき1€)や入院(20€/日)は保険の対象とならないため、自己負担になります。共済組合などに加入している場合は、自己負担分の一部もカバーされます。

各種医療保険のメリットと注意すべき点

日本人がフランスに滞在する期間も、日本の医療保険の適用を受けることができ、申請をすれば海外療養費の給付を受けることができますが、追加の保険に入ることをお勧めします。
 その理由は、海外で実際に払った額が、日本国内で同じ疾病を治療した場合にかかった額よりも多い場合、超過分は全額自己負担となってしまうからです。
日本と海外では治療方法が異なるため、自己負担額が日本国内で治療した場合よりも高額になる可能性があります。
 海外療養費の注意点は、給付申請手続きの面倒さです。申請書と領収書のほか、診療内容明細書および領収明細書とそれらの日本語訳、パスポートのコピーなどを合わせて郵送し、審査に数カ月かかった後、審査が通れば支給されるという流れになります。(詳しくはこちら

海外での治療費が日本での治療費を大幅に超えていたり、書類の不備で申請が通らなかったりというリスクは十分にあり得ることだと思います。

そのため、自己判断で以下のような保険に入ることをお勧めします。

日本人が加入可能なフランスの保険

フランスの公的医療保険には、職域ごとに設置される「基礎医療保険」、「ユニバーサルヘルスプロテクション(PUMA)*」、「国家医療扶助(aide médicale de l’État : AME)」があります。これらは医療保険制度の1階部分にあたります。

*2016年以降、基礎CMUは廃止され「ユニバーサルヘルスプロテクション(PUMA) la protection universelle maladie」という制度に置き換わりました。

フランスに3カ月以上滞在している外国人は、「ユニバーサルヘルスプロテクション(PUMA)」または「国家医療扶助」に加入することができます。

PUMAは、長期滞在を予定しており、正規の長期滞在資格を持つことが条件になります。

長期滞在資格を持っていないためにPUMAに加入できない外国人は、適法な居住であり、一定の収入以下(大都市圏に住む単身世帯は9,571€以下)であれば国家医療扶助(AME)に加入ができます。

なお、滞在期間が3カ月未満の場合には、「緊急医療扶助」を受けることができます。これは、治療をしないと生命に危険が及ぶ場合、妊娠および出産に必要な医療、未成年に対する医療等、緊急時に限定して給付される国家医療扶助の一種です。滞在期間3カ月未満でも、短期滞在ビザを持つ外国人は適用されません。

上記は医療保険制度の1階の部分で、2階部分には任意加入の私的保険である補足医療保険があり、加入率は9割以上となっています。

公的医療保険のメリット

  • 健康保険証をもらえる
    基礎医療保険に加入すれば、Carte Vitale(カルト・ヴィタル)という健康保険証を受け取ることができます。医療機関でこの保険証を提示することで、スムーズに医療費の払い戻しが受けられます。

公的医療保険の注意点

  • 滞在期間が3カ月未満の場合は、緊急時にしか給付を受けられない

  フランスの公的医療保険であるPUMAやAMEは、3カ月以上滞在した後に申請が可能です。そのため、滞在開始からの3カ月間は自己負担と割り切るか、海外旅行保険などでカバーする必要があります。

参考
l’Assurance maladie
https://www.ameli.fr/assure/droits-demarches/principes/protection-universelle-maladie

海外旅行保険

海外旅行保険のメリット

  • 診療費だけでなく、治療に必要な交通費、通訳が必要な場合の雇入費用、救援者(家族など)の渡航費など、幅広く対応しています。
  • 盗難や偶然の事故による損害も補償されます。フランスでは日本人の盗難被害が多いため、入っていると安心です。
  • 日本の健康保険から支給される海外療養費との併用が可能で、海外療養費と保険金の両方を受け取ることができます。

海外旅行保険の注意点

  • クレジットカード付帯の海外旅行保険は上限がある
    クレジットカードに付帯している海外旅行傷害保険特約の多くは、保険の限度額が決まっています。(多くは上限50万円~300万円程度)また、海外旅行費用をクレジットカードで支払った場合のみ保険適用となる条件が付いている場合もあります。
  • 海外旅行保険に入っていても、現地で一度医療費を建て替える必要がある

まとめ

フランスの医療制度の特徴は以下の通りです。

  • かかりつけ医制度がある
  • 受診は予約制
  • 全額を自己負担してから保険料が払い戻される償還払いが基本

フランスに3カ月以上滞在している場合は、フランスの公的医療保険に加入することで、自己負担3割程度で医療が受けられます。さらに私的保険の任意保険に加入することで、自己負担を減らすこともできます。

フランスでの滞在期間が3カ月未満で医療機関を受診した場合、個人で全額を建て替えた後に、申請をすれば日本の医療保険から海外療養費の給付を受けることができます。海外旅行保険に加入していれば、海外療養費に加えて保険金も受け取ることが可能です。

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