海外に長期滞在する際に大事なことは、入国前のビザ申請です。
ビザは、滞在の目的によって種類が分かれており、年齢や職業の条件、申請に必要な書類などが異なります。
ここでは、フランス滞在のために必要なビザについて解説します。
短期滞在にはビザ不要
日本は68の国・地域に対して短期滞在にはビザなしで入国が可能とされ、フランスも短期滞在ビザが不要な国の一つです。
短期滞在とは、90日以内の観光、出張、帰省等のための滞在です。
また、90日以内の短期トレーニングプログラム、インターンシップ、会議など報酬をもらう活動に対しても短期滞在ビザは発行されます。
長期滞在ビザの種類
90日以上の長期滞在をする場合、フランス当局の発行する滞在許可証または以下の9種類の長期滞在ビザ(VLS-TS)のうちいずれかを取得する必要があります。
- ワーキングホリデービザ
- 学生ビザ
- 労働ビザ
- 配偶者ビザ
- インターンビザ
- ビジタービザ
- 起業家ビザ
- タレントビザ
- ICT研修生ビザ
長期滞在ビザの申請はフランス入国日の3カ月以内に行う必要があります。遅くとも1カ月前までには申請をするとよいでしょう。
ワーキングホリデービザを除く長期滞在ビザの申請には99ユーロ(13,860円*)かかります。また、有効期間は3カ月から1年で、期間を延長したい場合は、フランスの県庁で滞在許可証の申請が必要になります。
*1ユーロ=140円
滞在許可を得る方法
ビザと似たものに、滞在許可証というものがあります。フランスでVLS-TSと呼ばれる長期滞在ビザには、滞在許可証に代わって滞在許可の証明になりますが、入国後にフランスで申請手続きが必要です。
なお、ワーキングホリデービザではこの手続きは不要になります。
長期滞在ビザで滞在許可を得る方法は以下の通りです。
まず、日本国内で申請した長期滞在ビザは、まだ完全ではありません。フランスに到着してから3カ月以内にオンラインで申請手続きをすることで、滞在許可を得ることができます。2019年まではOFllという機関に書類で提出する必要がありましたが、現在は完全オンライン化されています。
専用のwebサイトにアクセスし、ビザ番号を入力し、メールアドレス、ビザ情報、入国日、フランス滞在中の住所、居住許可の発行手数料を支払うためのカード情報を入力して申請します。
就労許可
滞在期間に関わらず、フランスで仕事をする場合は事前に労働許可証を取得する必要があります。
フランスに3カ月を超えて12カ月未満滞在して就労するには、原則として労働許可の取得に加えて、滞在許可証に相当する長期滞在ビザが必要です。
労働許可の手続きは雇用者が行います。なお、ワーキングホリデービザを取得している場合、労働許可の手続きは不要です。
また、以下の職種の場合は労働許可なしに90日以内の労働が可能です。
- スポーツ、文化、芸術、科学的イベント
- 会議、セミナー、見本市
- 映画、視聴覚、興行、音楽出版の製作、普及のためのアーティストまたは技術スタッフ
- モデル
- 特定の雇用主のフランス滞在中の個人向けサービス(家庭内労働者)
- 在籍出向社員(salarié detaché)が契約に基づいて行う、IT、経営、金融、保険、建築、エンジニアリングに関する監査および査定
ワーキングホリデービザ
フランスと日本の若者の国際交流を促し、互いの親交および理解を深めることを目的とし、滞在費用を賄うための就労を許可するビザです。
<条件>
①申請時に満18歳以上30歳以下である
②フランスへのワーキングホリデービザを過去に取得していない
③フランスを知るための渡航で、なおかつ仕事に就く意思がある
④子供同伴ではない
<費用>
申請料無料
<滞在可能期間>
1年間(フランス滞在中に滞在期間の延長不可)
<申請に必要な書類など>
1.長期ビザ申請書
2.パスポート(ビザ終了予定日から3カ月以上有効なもの)
3.証明写真
4.ワーキングホリデービザ 宣誓書
5.滞在中の計画書および履歴書(英語またはフランス語で作成)
6.申請動機作文(英語またはフランス語で作成)
7.海外旅行保険加入証明書
(英文もしくは仏文、クレジットカード付帯の保険は不可)
8.健康診断書(申請日より1カ月以内に医師が作成したもの)
9.銀行残高証明書(3,100ユーロ以上)
詳細ワーキングホリデービザの詳細はこちらをご覧ください。
学生ビザ
<条件>
EEF(Etudes en France)に登録するには、以下の利用条件があります。
・18歳以上である
・フランスのトレーニングコースや研究を選択している
・高等教育機関または公立/私立の教育機関へ留学する
<費用>
99ユーロ(13,860円*)
50ユーロ(7,000円*):ビザ申請前にEEF(Etudes en France)に登録した場合
*1ユーロ=140円
<滞在可能期間>
3カ月以上1年以内
<申請に必要な書類など>
1.長期ビザ申請書
2.パスポート(ビザ終了予定日から3カ月以上有効なもの)
3.証明写真
4.EEF ID番号(フランスの学生番号)の記載された登録証明書
5.銀行残高証明書、奨学金支給の証明書、保証人(家族)の経済証明書等
1カ月当たり615ユーロ以上(86,100円*)の証明
住宅費がかからない場合は1カ月あたり308ユーロ(43,120円*)の証明
*1ユーロ=140円
6.宿泊施設の証明:
ホテルの予約、賃貸契約、ホームステイ先のホストによる宣誓書のいずれか
ビジタービザ
<条件>
就労をせず、個人的な目的(文化、芸術、休暇など)のために滞在すること
<費用>
99ユーロ(13,860円*)
*1ユーロ=140円
<滞在可能期間>
3カ月以上1年以内
<申請に必要な書類など>
1.長期ビザ申請書
2.パスポート(ビザ終了予定日から3カ月以上有効なもの)
3.証明写真
4.日本における社会的立場を証明する書類(在職・休職証明書、年金受給証明書、教育機関・大学の在籍証明書など
5.銀行残高証明書
6.宿泊施設の証明(ホテルの予約書、賃貸契約書、ホームステイ先のホストによる住居提供証明書など)
7.医療保険加入証明書(1年以上有効)
8.フランスで労働しないことの宣誓書
ICT研修生ビザ
<条件>
日本企業に在籍し、フランス国内のグループ企業に派遣され、派遣先のフランス企業(日本企業の現地法人を含む)との労働契約はなく、派遣元との労働契約を維持する
グループ内の派遣元の企業には、6カ月以上就労している
<費用>
99ユーロ(13,860円*)
*1ユーロ=140円
<滞在可能期間>
最長3年間(更新不可能)
<申請に必要な書類など>
1.長期ビザ申請書
2.パスポート(ビザ終了予定日から3カ月以上有効なもの)
3.証明写真
4.CERFA申請書
5.雇用契約書
6.資金証明書(1年未満の場合は個人の銀行残高証明書)
7.グループ企業に6カ月間以上在籍していることの証明書
8.雇用主と派遣先の企業が同一グループに属していることを証明する書類
9.企業グループ内で必要とされる職業資格と経験を有していることを証明する書類
10.勤務予定の会社・事業所の最新の K-bis(法人登記簿)抄本
11.社会保障協定適用証明書またはフランスの社会保障制度への加入申請証明とその翻訳
12.社会保障費負担金及び社会保険料支払証明書
タレントビザ(タレントパスポート)
<条件>
・研究者・科学者
・起業家(現実的で詳細な計画に基づく3万ユーロ以上の投資)
・フランスで設立された企業の代表者(年間の額面給与が5万7,712.20ユーロ以上)
・受け入れ先のフランス企業と労働契約を締結する出向社員
・欧州ブルーカード保持者
・革新的な会社の従業員
・投資家(最低30万ユーロ以上の投資)
・芸術家など
<費用>
99ユーロ(13,860円*)
*1ユーロ=140円
<滞在可能期間>
最長4年間
<申請に必要な書類など>
申請するタレントの種類によって必要書類は異なります。
まとめ
フランスに長期滞在するにはビザが必要ですが、日本国籍の場合は滞在期間が90日以内であればビザの取得は必要ありません。
90日以上滞在する場合は、フランスに入国する日の3カ月以内に取得したビザが必要になります。
ビザにはいくつかの種類があり、必要な書類等が異なります。
英語またはフランス語で書かなければならない書類もありますので、翻訳を専門家に依頼するなどして書類を揃えるとよいでしょう。
30歳以下の方は、ワーキングホリデービザがおすすめです。
ワーキングホリデービザの申請にはお金がかかりません。また、普通の就労ビザとは違い、ワーキングホリデービザを持っていると雇用主は外国人の労働許可申請をする必要がないため、働く先を見つけるのが比較的容易というメリットもあります。
働くことが目的でない場合は、ビジタービザを利用するとよいでしょう。十分な資金と宿泊先を確保していれば書類を揃えることは難しくないと思います。
参考文献
Service-Public.fr:長期滞在ビザ(3ヶ月以上1年以上滞在する) |Service-Public.fr